【シンプルで複雑な逆説の美】三善晃 黄色い鳥のいる風景
何でもシンプルで浅そうに見えて、中身を掘り下げてみると実は複雑だったり深かったりするものは魅力的だと思います。
人間も、いつも神妙な顔をして難しい話をしてる人よりも
いつも笑っていて、のんきで
お腹すいたなあとか、眠たいなあとかいいながらも、
じっくり話をしてみると、
「ああこの人は色々なことを経験し消化して
表に出して意味のあることだけを選ぶように
なったんだな」
と思うような人は
深遠に見えて魅力的に私には映ります。
三善晃さんのこの曲も、それとどこか似たセンスで
惹かれ感動する音楽です。
アカペラver.
ピアノ入りver.
ぱっと聴くと、どこまでも明るく無邪気で
単純明解な旋律。
でも、大学時代に出会ってまだ今も聴いてしまうのは、
内声の響きの繊細さと複雑さの妙。
そして、谷川俊太郎さんのプリミティブな詩
水が流れていて
昨日と今日がある
黄色い鳥がいるから
全ての色と形と動き
世界がある
今聴くと思うことは
ただ鳥は鳥であり、私は私でしかなく
ただ今と過去があり、そして
私でない何かがあるから、世界が「ある」
1人存在しているようで、全てが「ある」
全くうまく説明できませんが
存在というものに対する深い感動があります。
50歳ぐらいの私がきっともう少し上手く
説明してくれるでしょう。
表現力の限界に歯がゆさを感じながらも
シンプルで深い、この音と詩に
私は今も、心揺さぶられ感動しています。
私の説明は理解できなくてもよいので
是非、聴いてみて下さい。
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